「ジェネシスってピーター・ガブリエルがいたころは曲が長かったりでつまらなかったけどガブリエルが抜けてフィル・コリンズがリーダーになってからはポップになって売れた・・・」
なんて言っている人間は、まずまちがいなくただの聞きかじりの知識だけで喋っているだけで、実際にジェネシスなんてまともに聞いたことはないはずだ。
(自分をP・ガブリエルの熱心なリスナーであると知って)目の前でそんなことを口走る人間は多かった。
そんなときは「それでは『トリック・オブ・ザ・テイル』と『静寂の嵐』のつまらなさはどう説明するのかね?」と逆に聞くことにしていた。
するとまあだいだいの人間は口篭ったり、黙ってしまった。
つまり聴いたこともないし知らないのだな。
ジェネシスのメンバー変遷を軽くおさらいすると、74年『眩惑のブロードウェイ』を発表した直後、リーダーでありボーカリストだったピーター・ガブリエルが脱退する。
その後、ジェネシスはライブアルバムと上記二枚のアルバム、計3枚のアルバムを発表して、オリジナル・メンバーのひとりだったスティーブ・ハケットが脱退した。それが78年のことであった。
その直後にリリースされたのが世界的な大ヒットになったB6を含む、この「そして三人が残った」である。
つまり上記のようなことを言う人間は本来ならば「ジェネシスってスティーヴ・ハケットがいたころは曲が長かったりでつまらなかったけど、ハケットが抜けてフィル・コリンズがリーダーになってからはポップになって売れた。」といわなければならないのだ。
時間軸をはっきりさせておくとこうなる。
ジェネシスが「トリック・オブ・ザ・テイル」を発表したのは76年。ガブリエルが初のソロ・アルバムを発表したのは77年。
そしてジェネシスからスティーヴ・ハケットが抜けて「そして三人が残った」がリリースされたのが79年、と常にジェネシスは(抜けたリーダーの)ガブリエルの後を追うような形でポップなスタイルを確立していったのである。決して逆ではない。
とはいえ、ソロになったスティーブ・ハケットがその後低調かというと、実は精力的な音楽活動を続けており、そのほとんとがギターソロのアルバムなのだが、その卓越したテクニックと曲作りの上手さという点で今でも高い評価を保ちつづけている。
思えば、ガブリエル時代のジェネシスの最大の欠点は、その民主主義というよりも悪しき平等主義がもたらした弊害にあった。
端的に言うと、スティーブ・ハケットによるギターのソロパートというものを強調しすぎることであり、メンバーの誰もがそれに歯止めをかけられなかったことなのである。
そういう意味ではピーター・ガブリエルは無能なリーダーだったと言えるかもしれない。
案外アンソニー・フィリップスあたりがリーダーシップを取ってれば抑制のとれた曲を量産するアメリカ市場向けのポップバンドになっていたかもしれない。
実際、『アバカブ』の中からシングル『ノー・リプライ・アット・オール』がアメリカで大ヒットするとほぼ同時にヨーロッパでのジェネシスの人気は停滞し、下降気味になってしまった。
この『そして三人が残った』からのシングル『フォロー・ユー、フォロー・ミー』はジェネシスにとって最後の全ヨーロッパ(だけの)大ヒット曲。
この曲がピーターガブリエルの『ソウルスベリー・ヒル』にインスパイヤされたものであることは当時誰もが感じたはずだ。
実際、フィル・コリンズはその前後「あの曲」という言い回しでガブリエルの曲からの影響で出来た曲であることを暗に認めてしまっていた。
この曲の全ヨーロッパでのヒットとして有名なエピソードとしてひとつだけ挙げる。
フィギアスケートの女王、スイスのデニス・ビールマン(あのビールマン・スピンで名を残したのビールマン)がエキジビジョン(最終日)では、どのヨーロッパの、どの大会でも必ずこの『フォロー・ユー、フォロー・ミー』を使っていたくらいだったのである。
まずこの曲が流れはじめるとどの国でも観客は総立ちで大喝采になっていたものだった。
こういった誤解はその他にもかなり多い。そのほとんどは、今更その誤解を指摘してみてもしかたのないことではあるのだが、たとえば洋楽専門のラジオのディスク・ジョッキーでどう考えても自分と同年代の人間がこういう基本的なミスを犯していたりするのを見聞きすると、なんとなくだが自分の(無力の)せいのような気がしてならないことがあるのだ。
かなり夜郎自大な感覚ではあるが。
FOLLOW YOU FOLLOW ME
Written by Tony Banks/Phil Collins/ Mike Rutherford
Stay with me,
My love I hope you'll always be
Right here by my side if ever I need you
Oh my love
In your arms,
I feel so safe and so secure
Everyday is such a perfect day to spend
Alone with you
I will follow you will you follow me
All the days and nights that we know will be
I will stay with you will you stay with me
Just one single tear in each passing year
With the dark,
Oh I see so very clearly now
All my fears are drifting by me so slowly now
Fading away
I can say
The night is long but you are here
Close at hand, oh I'm better for the smile you give
And while I live
I will follow you will you follow me
All the days and nights that we know will be
I will stay with you will you stay with me
Just one single tear in each passing year there will be
I will follow you will you follow me
All the days and nights that we know will be
I will stay with you will you stay with me
Just one single tear in each passing year...
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