2011年7月19日火曜日

なでしこ30年の悲願って何?みたいな疑問

女子サッカーワールドカップで日本代表が優勝した。

自分にとって「3.11」以降、最大のグッドニュースであり、とても良い出来事だと思っている。

但し、マスコミのサッカー女子代表の扱い方に対しては相変わらず疑問と不満だらけで、自分はこの喜ばしい出来事を少しづつ曇らされているような気がしてならない。

まず大体にして、テレビ番組などで「なでしこJAPAN30年の悲願の優勝」とかのフレーズを何度も繰り返していたのには正直鼻白んだ。

せめて「日本女子サッカー」と言ってはくれないのかと。

みなどこかに置いてきて忘れてしまっているのかもしれないが、女子サッカーリーグを「なでしこリーグ」と名づけたり、代表のことを「なでしこジャパン」とかいうようになったのはつい最近のことだ。それまでは(男子のJリーグに倣い)「Lリーグ」と呼ばれていた。

名前だけではない。システムも運営も大幅にリニュアルされている。極端なことを言うと「Lリーグ」と「なでしこリーグ」はまったくの別物といっても過言ではない。

だから、自分は「なでしこJAPAN 30年の…」とか言われると「はぁ?」みたいな感じになってしまうの。ご理解いただけるだろうか。

まあ仮にマスコミが正しく「日本サッカー女子代表30年の…」と言ってくれたとしても「悲願」はねぇだろうよ。

悲願ってのはそれこそ何度も何度もチャレンジして跳ね返されてきたものにこそふさわしい。

たとえばこれは(日本)男子のサッカーの場合だが「ワールドカップ出場」は1998年(アジア予選のあった前年)までは悲願だった。紛うことなき正真正銘の「悲願」である。なにしろ出場直前までは何度もたどり着いても、結局最後の最後で叶わなかったという歴史があるからだ。

で、日本サッカー女子の場合はどうかというと、振り返ってみれば一目瞭然。

サッカー女子日本代表は過去五回開催された女子ワールドカップに全て出場している数少ない「サッカー強豪国」のひとつであり、六回目で見事世界一の称号を得ることが出来た。むしろ順調すぎる結果なのである。

これを「悲願」というのであれば、女子のトップリーグの歴史が100年とか200年もあるのにいまだにW杯優勝を手中にしてないイングランド(イギリス)とかフランスの立場はどうなるのだろう。もう「悲願」どころじゃ済まないよな。

あるいは、女子は子どものころからサッカーをするのが当たり前のようになっているスウェーデン、ノルウェーの立場からすると「なでしこJAPAN」の日本代表のように競技人口わずか四万の国の代表が世界一になるというのはまさに脅威だろう。

また、女子サッカーの競技人口もそこそこ多くて実力もありながらも、強豪ひしめくヨーロッパにおいて、未だ一度も本大会出場の叶わないオランダの立場からすれば、日本女子代表のことがうらやましくてしかたないはずだ。(もしもオランダがアジアや北米・アフリカあたりから予選出場していたならば一度くらいは出られていたはずだからだ)

だから「なでしこJAPAN」には「悲願」という言葉はふさわしくない。自分はそう言うのだ。

このようにマスコミが「なでしこJAPAN30年の悲願」というフレーズを口にすることに対しては、自分は非常に恥ずかしい気持ちを持っている。

歴史的な大嘘であり事実無視だからだ。

マスコミがこのような「歴史の捏造」をするのはまあいつものことだとしても、このことが海外に知られるのだけは避けたい。日本のマスコミの低レベルぶりが海外に晒されるのはとても恥ずかしい事だからね。

長々と説明してしまったがそういうことです。

こんなこと 彼女たちの責任ではまったくないのだけれども、なんで日本のアマスポーツは代理店が絡むとこのような「インチキ臭」が漂いはじめるのだろうか。

前回冬季五輪のカーリング女子の「クリスタルジャパン」とかさ。

自分としてはそれを悲しんでいる。
2011.07.19

追記
※ いろいろなご感想を頂いた。賛意もあれば反対意見もある。反対の意見があってもそれは別にかまわない。しかし、自分が書いた「なでしこJAPANに悲願というフレーズは似合わない」という意見に反対の人たちのほとんどが「ずっと前からなでしこをテレビで見たり応援しているものですが…」とかありえないことを平気で書いてきたりするから困るのである。

もう一度いうが、サッカー女子代表のことを「なでしこJAPAN」と呼ぶようになったのはわずか3年前だ。3年前のことを「ずっと昔から…」というのはいくらなんでもおかしいでしょう。自分はそれを言っている。

改めて問い掛けるが「あなたたち、マスコミのついている嘘に洗脳されてはいまいか?」そういう疑念だけはもったほうがいいのではないだろうか。(07.22)

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