2006年5月13日土曜日

「霊が見える」ということの解釈

何度となく書いていることだが、周囲にはいわゆる「見える人」が多い。
これもいつも書いていることだが、私は「見える」こと自体は否定していない。
彼らを嘘つき呼ばわりしたことは(大人になってからは)一度もない。

しかし霊の存在に対しては否定的である。というか、もしそのようなものがあるとすれば人間の目でだけでなく、ありとあらゆる検知機器で確認されるはずがないと確信している。

逆説的に言えば、人間にとってだけでなく、このいわゆる実在の空間には存在しないからこそ「霊」であり、存在が可能なのではないかと。

数字の「0(=ゼロ)」と同じようなもの、と考えてもらうとわかりやすいか。

実存しない存在としての「ゼロ」である。

ゼロはあるかないかといえば、想念としてはある。しかしこの世の中にはゼロのものは存在しない。
0個の卵、0本の牛乳、そんなものは実在しない。あるのは「0個の卵」という考え方だけである。「昨日まであった卵が今日はなくなってしまった」というような場合には「0個の卵」という概念はある、というのと似ていると思うのだ。

では何故あるはずのないものが見えてしまうのかというと、それは脳のメカニズムだと思う。「思う」というのはまだすべてのケースに対して完全に実証されていないからそういうだけであるが。

ひとことで言えば、脳が視覚神経を使い、かつて目にし記憶にとどめておいたのを、網膜にフィードバックするような形で焼き付けてしまうことをするのだと思う。

これも乱暴な例えだが、コンピュータのデータメモリーの処理に似ている。
網膜は目に入ってきた光を視神経を通して脳に伝えるカメラのレンズのようなものだが、同時に一種の「出来の悪いスクリーン」というか「モニター」でもある。
脳がなんかの拍子にピックアップした、過去に深く刻み込まれた映像を映し出してしまうことがある。これが幻影の正体である。

その「なんかの拍子」であるが、それは心神の強い衝撃であったり、強い酒であったり麻薬の効果だったりする。関連する記憶がそれを呼び戻すこともある。そのへんのメカニズムはよくわかってはいない。

もちろん、目に映る映像としての幻だけではなく、耳や鼻や、それどころか皮膚に対してまでこの誤った命令が下されることがある。

なものだから、多くの人は「あれは単なる幻ではない」と感じてしまうのだ。

実をいえば私も、小学校2年から中学校2年まで過ごした家に引っ越したばかりのときと、中学2年から20まで過ごした家に引っ越した直後、これと思われる幻影(子供の頃は幽霊と位置づけたわけだが)に悩まされた。

夜中目が覚めるとると女の子がこちらを覗き込んだり、中空を飛び回ったりするのだ。覗き込むだけではない。顔を撫でたり息を吹きかけてきて、その息吹が顔にかかる感触まであった。悪意は無さそうである。なにかとにかく嬉しそうにケラケラと笑っているのだ。なんにしても不気味であることには変りはないが。

あれは二十歳くらいのころか、その正体はわかった。私には五歳年上の従姉妹がいるのだが、彼女だったのだ。

私が生まれてすぐのころ両親は兄夫婦(私にとっての伯父夫婦)と同居していた。当然、そこには従姉妹もいる。

彼女の思い出話を聞いていて確信したのだ。私が生まれてすぐに家に戻ったころ、彼女ははいつも産まれたばかりの私のそばにいていつも眺めたり顔を撫でていたりしていたという。

さて、産まれたばかりの赤ん坊である私にはそれはどのように映るであろう。母親とは違う「大人の女性」がそばにいて、体を自由に動かせないで横になっている私の顔を覗き込んだり顔を撫でたりするのはかなり強烈な光景-体験として刻み込まれているはずだ。また、自分の周りを自由に動き回る彼女の姿はまるで飛び回っているかのように見えるであろう。

その後同じような幻影を見た記憶はなんどかある。やはり引越しししたり、ホテルに泊まったりしたときだが、夜中にふと目覚めたときに私を覗き込む「少女」の顔は写真にある5、6才のころの従姉妹に似ていた。

まるっきり同じでない、というのはやはり何人かの記憶がごちゃ混ぜになっていたりするためではないかと思う。

こうして、私はかなり早い時期にその「心霊」の呪縛から逃れる-解決する-方法にたどり着いた。

一番有効なこと、それは過去の自分から目を背けないことではないかと思う。

幽霊を見た、と悩む人から話を聞く機会が多いのだが、彼らの特徴を挙げるといくつかある。

ひとつは、私もそうなのだが左利きであったり、5才くらいまで利き手が定まらなかったり、あるいは利き手を矯正されたりとかの経験を持った人に多い。これはきっとその脳のメカニズムと関連しているからではないだろうか。よく両利きの人間は空間認識能力が高いといわれるが、これもそのことと関係するのかもしれない。

もうひとつは自分の子供のころの体験を意図的に忘れようとしている、トラウマをもった人に多い。

そしてこれは数字的にまずまちがいのないことなのだが、男よりも圧倒的に女性が多いのだ。

これもくり返しいつも言っていることではあるが、わたしは「霊」の存在を全否定しているのではない。あるのかないのかと問われたならば「わからない」と答えるしかない。

しかし、あなたが絶対的な確信をもって「見た」と主張する「霊」がいわゆる本物の霊でないということは断言できるのである。

何故なら私も「見える」人間である。「見た」人間がそれを根拠として霊の存在を肯定することの危険、あやうさ、あやまちならばあなた以上によく知っているつもりだ。

ナオコさん、エミコさん、エリさん、タカコさん、アイさん、フミエさん、
これは貴方達に言ったことでもある。何故か全員女性ばっかりだが(笑)

男どもは、まあ勝手にしっかりやってください。(了)

0605130635

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